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再履のどうしても落とせないテストがあったので、ちょっくら潜ってました。
といっても携帯のほうには顔出してましたが。
結論から言うと、可か不可ですね。
もう優とか良ってなに?って感じ。
そんな評定の仕方知らないよ、私。

とりあえずテストは明日までです。
拍手お返事や連載続きや新連載やいろいろしたいこといっぱいです。

バレンタイン近いので、もいっちょ沖神バレンタイン小話。
これも実は前サイトで掲載してたものなので、見たことある方いらっしゃったらごめんなさいです。
修正はほぼしてないので、約三年前の稚拙すぎる文章が恥ずかしいですが、目をつむってやってください。
今も全然進歩してない気もしますとか言わないであげてください。
傷つきやすいのです。

次回はサスサクをUP予定。
思いついた時にあげちゃいます。
気が付いたらバレンタイン終わってたってことは大いにありうるので^^笑

【無知な天人】で居られたのは最早去年まで。もう、知っている。愛しい人へ想いを伝える、二月十四日のバレンタインデー。


愛し君へ


向こう岸からこっちの岸へわたる唯一の手段の架け橋はいつもより多くの人が行き交っていた。丁度商店街の入り口付近。人だかりの半分以上が女だった。年に一度の女の祭り。好きな男へチョコレートにのせて気持ちを伝える日。黄色い声ではしゃぐ女達を見ていると、心なしか甘い香が鼻を掠める。何処からともなくチョコレートの匂いがしてきそうなのは、気のせいなのだろうけど。

河のせせらぎが耳に気持ちよかった。総悟は橋に凭れ掛って、あーあ、と空を仰ぐ。正月とクリスマスに匹敵するほどの人が雑踏するこの日は毎年真選組の出動がないはずもなく。サイレンを鳴らしたパトカーから降りてきた人相の悪い男衆が早速交通整理に当たる。総悟もその一人だった。

適当に部下を配置に付かせ、俺は見回りにいってくるだの理由をつけると、人よりも随分長い昼休憩を貰っていた。煙草を口に咥えた仏頂面の男に見つかればまた五月蠅くどやされるのだが。それはそれで面倒だと思いはするものの、やはりあの人ごみに戻る気はどうも失せる。それなら野郎の説教を小一時間聞いているほうが随分ましに思えてくる。

総悟は本日何度目だろう、深いため息をついた。まだ冬真っ只中のこの時期。マフラーで凌げるほど軟い寒さではない。その証拠に白い息が、薄空へ消えていった。一体何が哀しくてバレンタインデーをむさ苦しい男連中と浮かれた女の整理をしなければならないのだろう。世の中は本当に異国の文化に踊らされている。古き良き日本の美徳というものは何処へ行ってしまったのだろうか。

「今日は命日だヨ」

不意に。
人ごみから小さな影が一つ抜けてこちらに歩み寄るのが見えた。藤色の傘を空一杯に大きく広げて、少女は蒼い瞳を覗かせた。

「どうして命日にこんなお祭りみたいなことするアルか」

神楽は総悟の隣へやってきて、橋の上にひょいと腰をかけた。

「どうしてアルか」
「俺が知るかよ」

バレンタインデーを考案した奴じゃないのに、そんなこと知るわけない。ぷいと総悟がそっぽ向く。それ以上神楽は何も答えることなく、足をぶらぶらと揺らし始めた。あたりには銀髪の男の姿も、いつも連れているでかい犬の姿も、見当たらない。
今日は一人か。
ポケットから酢昆布を出して、口に含む少女に総悟はちらっと視線をやった。世間一般の女と違って、こいつの場合バレンタインデーだろうと何だろうと生活のサイクルは全く違わないらしい。相変わらず能天気で、腹が立つほどに疎い奴。

「何の用でィ」
「別に。職務を怠慢してる税金泥棒が見えたから、からかいにきてやっただけヨ」

足をぶらぶらと揺らすことはやめずに、淡々と少女は答えた。総悟の丁度目線の横。橋の手すりの上に腰掛けた神楽の細い足に知らずと眼が行く。
ふくらはぎの辺りできゅっと締まったズボンの裾から白い肌が覗いていた。本当に真白。まだ空気の冷たいこの時期には、寒々しく映えた。

「お前今日の収穫は何個アルか」

何処か楽しげに、突然神楽がそんなことを尋ねる。

「何が」

目的語がわからなくて、彼は首を傾げた。すると何の躊躇いもなく、短い答えが返ってくる。

「チョコ」

蒼いその瞳は真っ直ぐにこちらを見ていた。
たかりに来たな。
総悟は目を閉ざした。

「――別にいいだろィ、何個だって」

その答えを、負け惜しみととってか神楽が不意に噴出した。右手で小さな口を押さえる。

「もてなさそうだもんな、お前」

いやらしく目を細めた。何処までも性格の悪い女だ。

「殺すぞてめぇ」

総悟が凄んだ。チョコなら、今朝からもういくつか彼宛に屯所に届いていた。毎年のことだ。見知らぬ女からの贈り物。あまりいい気分じゃないのは、自分が単にひねた性格をしているからだろうか。

「あ」

そんなことを考えていると、隣で神楽が小さく呟くのが聞こえた。それにつられて目線を挙げると、長い髪を一つに束ねて、少し頬を上気させた女が、たたっと総悟に駆けて来る。俯き加減で口を真一文字にきゅっと結んでいた。世間一般の美人というやつかもしれない。少し伏せ目がちではにかみながら、女は総悟の前に立ち止まった。身長はあまり総悟と変わらなかった。その身長に似合わない小さな声で女はお仕事頑張ってくださいとだけ口早に言うと、持っていた小さな赤い包み紙を総悟に半ば無理やり手渡した。さっと女が身を翻す。着物の裾がぱたぱたと音を立てて向こう岸へと消えていった。手に乗ったものはなんとも軽く、虚無なもの。

「――今の娘」

総悟が呟いた。

「割と可愛いかったなァ」

人ごみに声は紛れてしまわない。それを彼は願った。神楽の顔が少し曇る。
心なしか唇を尖らせて、

「あ、そ」

そっぽ向いた。相変わらず足はぶらぶらと揺らしたままで。

「お前なんかに釣り合わないアル」
「別にどうなりたいとも思っちゃねぇよ」

そんな神楽の反応を見るのが楽しくて、内心笑いをかみ殺しながら、何気ない顔で総悟はびりびりと貰ったばかりの包みの包装紙を破った。白い箱に収まった、甘い匂いの菓子。蓋を閉めて、それを総悟は神楽にすっと差し出した。

「やる」

神楽が目の端に移った白を捉え、眉を寄せる。

「酷い男ネ」
「さっきは集ってきたくせに今さらよく言うぜ。ま、いらねぇんだったら捨てるだけでさァ」

総悟はくるっと振り返った。橋が架かった川の下。投げ込もうと、素振りを見せた。それを見て、少女が慌てないわけない。

「ちょっと待つアル!捨てるくらいなら貰うヨ!」

神楽の細い手が総悟の腕を掴んだ。なら初めからそう言えよ。呟いた総悟が神楽の掌に白い箱を落としてやった。

「…お前少しは、女の子の気持ちも考えてやれヨ」

藤色の傘の下で、辛そうに顔を顰めるのは先ほどの娘が可哀相だからか。自分の面影に、少女を重ね合わせたからか。

(こいつも女ってことか)

チョコを贈る相手の男に、思いを馳せる。総悟は静かに目を閉ざした。

「お前誰かを好きになったことあるか」

唐突に、彼はそんなことを言い出すものだから。神楽の鼓動がひとつ大きく跳ねた。

「え」

間抜けに開いた口からは間抜けな言葉が音になる。総悟の視線が、ちらっと神楽に向けられた。

「男を好きになったことねぇのかィ」

相変わらず彼の表情はわからない。じっと見据えられて、最初に目を逸らすのはいつも神楽のほうで。

「そ、それくらい、あるに決まってんだろ」

顔が熱くなるのを悟られないように、神楽は顔を背ける。
ふうん。
自分で聞いてきた癖に、男は興味なさげに鼻を鳴らした。
なんだこいつ、喧嘩でも売ってるのか。

「じゃあ例えば、お前の誕生日、他の男から酢昆布百箱貰うのとその好きな男から飴玉一個貰うの、どっちが嬉しい?」

総悟は目を落としたまま、淡々と言う。なんだかは冗談やはぐらかしはきかないような気がして、火照る頬を左手でぐっと押さえ神楽は俯いた。

「…飴玉」

彼に聞こえてしまわなければいいと思った。それでも簡単に声は音になって総悟の耳に届いてしまう。

「だろ、それと同じでィ」

総悟は、たまに酷く優しい顔をする。いつからか薄々感じていた。彼の心に映る、女の影。
なんだ。
ただ一つの、その人からの想いを彼は待っているだけなのだ。さっき、紛れもなく自分が答えたように、大切な人からの贈り物には何が何個重なっても叶わないことを神楽はよく知っていた。総悟のこの顔を見るたびに、
ああ本当に彼はその人が好きなんだなといつも実感する。
それと共に、なんだか急に虚しくなるのを神楽は感じていた。別に関係のないこと。こいつが誰に惚れようと、そして誰と結ばれようと。自分は所詮、いつの間にか今こうしていたことも忘れて、記憶の片隅に押しやられてしまうだけの存在。苛立ちなのか哀しいのかよくわからない感情が渦を捲く。黙っていればどうかなってしまいそうで、神楽は唇を噛み締めると隣の総悟をみやった。

「どんな人アルか」

この胸の虚無感を何で埋めればいいのだろう。我知らず傘の柄を握り締める左手に力が篭った。

「誰が」
「お前がチョコ待ってる人」

ただの好奇心だと思ってくれていい。いや、思ってくれたほうがいい。総悟は一つ表情を変えることなくじっと神楽を見た。彼の瞳の色は、透き通るような鼠色をしている。割と整った容姿に綺麗な髪。彼に憧れる女くらいきっと世の中にはごまんといるのだろう。先ほどの女もその一人。そんなこいつが唯一愛する人なんて、本当は知りたくなかった。
でも、もう今更。
ずっと自分の気持ちを知らないふりをしていたのに。彼の気持ちを知らないでいることはずるい気がした。泣きそうな顔で、己を見据える神楽が何よりも可愛くて。噴出すのを我慢して総悟はああ、と呟いた。

「年がら年中、病人みてぇに真っ白い肌しやがって、犬臭ぇ女」

神楽の目が、丸くなる。

「何アルかそれ。本当に女かヨ」
「女じゃねぇかもな」

少し首を竦めて、総悟が空を仰いだ。なんて、高い空。白みを帯びて寒々しい色をしているにも関わらず、酷く優しい。その傍らで、俯いた彼女の顔をちらりと見やった。鈍感で、生意気で、可愛くて、愛しくて。あまりの神楽の疎さに、彼は大きくため息をついた。

「ていうか」

総悟の金髪がさらりと揺れた。

「気づけよ、お前」

気持ちはいつも一方通行。そしてすれ違い。じとっとした目で総悟は軽く神楽を睨んだ。少女の瞳は相変わらずの瑠璃色で訝しげに総悟を見つめる。空に紛れてしまいそうなほど深い蒼だった。
総悟は手を神楽に差し伸べた。

「チョコ」
「え」
「ねぇのかよ、お前からは」

言葉を理解するのに、一体このときどれだけ時間を有しただろう。神楽は一瞬何を言われているかわからずに、黙りこくった。沈黙が二人の間を流れる。

「ちなみにそのチョコ持ってきた女」

言われて神楽は自分が手にしている白い箱に目を落とした。

「山崎でィ」
「え!」

驚いて神楽が総悟を見た。でもあれは確かに女の着物に身を纏い、化粧もしっかりと施した――。

「さしずめ罰ゲームかなんかだろィ。声聞きゃすぐわかるぜィ」

ああ、だから。
彼は娘に扮した山崎のことを、嘲笑する意味で「可愛い」と言ったのだ。それにまんまと乗せられて、ちゃっかり嫉妬までしてしまうとは、何処まで自分は愚かなんだ。

「で、お前からは?」

神楽の前に差し出されたままの手が、揺れる。

「そ、そんなのは自分から催促するもんじゃないネ」
「こうでもしなきゃてめぇくれねぇだろィ」

さらりと言われて彼女は押し黙った。確かにその通りなのだが。何でも見透かすのがこの人は得意。だから今の心臓の音まで見透かされている気がして。

「――この間依頼に来た人がチョコレート会社の社長で、お礼にっていっぱいチョコくれたアルよ。だから銀ちゃんたちに作って、余ったからおすそ分けしてやろうと思っただけだからネ」

神楽の言葉に、嘘はなかった。チョコレートが万事屋に山積みになっていて、丁度バレンタインデーも近いということもあり、それを手作りチョコにして銀時らに振舞ったことは事実である。けれどその後に、総悟のことが浮かんだことは悔しいから言わないでおく。
神楽はひょいっと橋の上から降りると、後ろのポケットを弄った。そうして取り出したのは、そんなに大きなものじゃない。今神楽の手に握られている白い箱の四分の一程度のものだった。

「ホワイトデーは五倍返しネ」

顔を真っ赤にして、彼女はそんなことを言う。その表情が可愛くて抱きすくめたい衝動を抑えながら総悟は彼女の言葉が耳に入らないふりをして空を見上げた。紺碧の天上は冴え渡る。それと同じ色に白い水玉が散りばめられた包装紙だけで装飾された箱は、今まで総悟がもらってきたどんな贈り物よりも重たかった。


END.
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